2023.08.03
【作家紹介】⑥ 大島秀信 ~静かなる圧倒感 富山を代表する日本画家~
富山県が生み育んだ日本画家がいます。
大島秀信。
師匠の東山魁夷の精神を受け継ぐ透明感ある色使いと、故郷の自然への愛情を感じる日本画家として、(2014年に亡くなっていますが)今でも多くのファンに愛され続けています。
今回は、富山の画壇を牽引した大島秀信の魅力をご紹介します!
大島秀信の経歴
大島秀信は昭和3年、富山市に生まれました。
戦後20歳の頃に日本画家として活動を始めた秀信。東山魁夷と川崎小虎に師事し、昭和26年の日展で初めて入選を果たします。その後、日展をメインに活躍を続け、のちに富山県を代表する日本画家として大成しました。
※東山魁夷…ひがしやま かいい 1908年(明治41年)7月8日~1999年(平成11年)5月6日)画家・版画家・著述家として活躍した。昭和を代表する日本画家の一人で、風景画の分野では国民的画家。特徴的な透明感のある青色は「東山ブルー」と呼ばれる。
※川崎小虎…かわさき しょうこ 1886年(明治19年)5月8日 ~1977年(昭和52年)1月29日)日本画家。小虎の長女である「川崎すみ」は、小虎の弟子の一人だった東山魁夷に嫁ぎ、東山魁夷の作風にも影響を与えたと言われる。
また富山県内の洋画家・版画家らと共に、昭和44年の初回から40年あまり(計35回)にわたって続けたグループ展「5人展」は郷土である富山の画壇に刺激を与えました。
地元に根ざした制作活動を続け、長きにわたり富山県の画壇に貢献。そんな地元を愛する秀信が描きだす日本画の特徴は、神秘的で静けさを感じるような美しい色彩と、寡黙ながら観ている者を飲み込むようじわじわとした圧倒感ではないでしょうか。
深い森を詩情的に表現したと言われる作品「樹蒼」、画面を2分割し、陽光の残りを受け輝く植物と夜色に染まっていく背景を対照的に描いた構成が目を惹く「残陽」。この2点は富山県の美術品として大切に所蔵されています。
また夜明け前の立山がまとう空気感を描いた作品「晨」など、地元・富山の山々の情景を中心にした作品は、今もなお高い評価を受け愛されているのです。
秀信はその後も、富山県内の美術団体でつくる県美術連合会の会長を務めるなど県内の画壇を牽引し続けてきましたが、2014年に肺炎が見つかり、闘病の末86才でその生涯を終えました。
1951年(昭和26年)第7回日展に「ダム」で入選。
1969年(昭和44年)県内作家「第1回5人展」開催。
1970年(昭和45年)第2回改組日展に「樹蒼」で特選受賞。
1979年(昭和54年)「選ばれた俊英15人展」で北日本美術賞を受賞。
1981年(昭和56年)「’81富山の美術」に出品。
以後’84 ’86 ’90の同展に出品。同年、日展特選。
1988年(平成元年)日展会員。
1999年(平成11年) 日展評議員。
2014年(平成26年) 8月29日、肺炎のため死去。享年86歳。
追い求めた「自然との共生」
故郷の立山連峰を心から愛し、自然と文明の関係を問い続けたと言われる秀信。
その人柄を知る資料があまり残されていないのですが、1990年(平成2年)に開催された月刊グッドラックの座談会に出席した際にこう話しています。
「やはり私は、都市の中にある森や水というのが絵になるし、素晴らしいと思いますね。そういう意味で、街の中心を流れる松川は富山の風情として重要な存在だと思います。以前、松川の水をきれいにするために鯉を放したところ、鯉がいなくなった、という話を聞いたことがありますが、それにはまず生活排水が大きな原因と考えられるので、下水が入らないようにすることが先決ですね。」
※引用元「月刊グッドラックとやま 風情あふれ、心魅かれる そんな街・富山に」
師匠の東山魁夷と同じく、自然を敬い愛したのですね。
しかしただ愛するでけでなく、日本画家という職業・技術を通して作品を見る人々に「一人一人が自然を守るために動くことの重要性」を問いかけていたのかもしれません。
生涯をかけて「自然との共生」をテーマに、精力的に立山を描き続けたことを知ってから作品を見ると、また違った味わいを感じることができますね(^^)
大島秀信の作品
たくさんの作品を描いた大島秀信。
その一部は富山県内の美術館、歴史館、博物館などで所蔵・展示されています。
※青い文字の作品はクリックすると作品の画像を見ることができます(^^)
- 「ダム」
- 「赤いグラス」
- 「汚れた天女」
- 「樹蒼」
- 「残陽」
- 「戯れ」
- 「藤波」
- 「青い森」
- 「越中との別れの宴」
- 「渋谿の磯」
- 「白い朝」
- 「新雪の朝」
- 「遠い樹列」
- 「剱岳」
- 「霧の原生林」
- 「白い連峰」
- 「森の朝」
- 「黎明」
- 「福野夜高祭」
- 「朝」
- 「里の白い樹」
- 「早月川より剱立山を望む」
いつまでも大切にしたい、富山の宝物ですね!
富山県水墨美術館の常設展示でも作品が観られるようですよ(^^)
気になる方はぜひ本物を観に足を運んでみてくださいね。
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