2023.10.07
絵画について|西洋画
目次
日本画とよく比較される西洋画。
今回はその定義や画材・魅力・有名な西洋画作家をご紹介します。
ぜひ最後までご覧くださいね(^^)
1.西洋画の定義
まず始めに西洋画の定義をご紹介します。
そもそも西洋画ってどんなものでしょう?
西洋画とは
西洋画とは、西洋(ヨーロッパや南北アメリカ諸国を指す総称)で誕生した材料や技法で描く絵画のこと。
明治以降、日本画と一線を引くために洋画とも呼ばれました。
西洋画の中でもルノアール(※)の作品など「印象派」(※)と呼ばれる絵画は日本でも根強い人気があります。
※ピエール=オーギュスト・ルノワール。フランスの画家。「印象派」を代表する巨匠。
※印象派…19世紀後半、フランスで起こった芸術運動。画家の目に映る映像の印象をそのまま描き出した絵画が特徴。
西洋画は紀元前から始まり、現代までにさまざまな流派が生まれたとされています。
西洋画の歴史の特徴を一緒に見てみましょう。
- 肖像画が多い
- キリスト教をテーマにした宗教絵画が豊富
- 透視図法による遠近法
- 光によるコントラストで立体的な表現
確かに、古い西洋画は宗教画が多いというイメージがありますね!
光のコントラストが強く「なんか…怖い」と感じた経験は皆さんもあるのではないでしょうか?
西洋画の原点は「アート」ではなく、もっと神聖なものだったのですね。
また、西洋画は主に次の2つに分類されます。
- 具象画:人物や静止物風景など、描く対象が明確
- 抽象画:対象が曖昧
なんだか難しい言葉になっていますが、「何が描かれているかすぐ分かるか分からないか」という感じでしょうか(^^;)
西洋画の種類
もっと具体的に西洋画分類してみましょう。
描く対象物の違いで分けると、次のようになります。
- 風俗画:庶民のいつもの生活を描く
- 歴史画:神話や伝説も含め歴史上のできごとを描く
- 肖像画:決まったモデルを対象に描く人物画
- 風景画:建築物や自然など目に飛び込む 環境をそのまま描いたもの
- 宗教画:宗教上の理由で描かれた絵画
- 博物画:生きている植物や動物を描く
- 静物画:切り花や果物など単体では動かないものを描いた絵画
肖像画・風景画・静物画は、目にする機会が多いのではないでしょうか?
また、西洋画を使われる画材で分けるとこうなります。
- ● テンペラ画…卵黄と顔料をミックスした絵の具で描かれた絵画。色彩が明るく、時間が経過しても色味が変わりづらい。
- ● 水彩画…水溶性の絵の具で描かれた絵画。透明感のある色味は重ね塗りに向く。
- ● 油絵…油絵の具で描かれた絵画。不透明な絵の具だが、色を重ねることで独特の質感や味わい深さが出る。
- ● パステル画…顔料を乾燥させた粉末を粘着剤で固めたチョークのような画材で描かれた絵画。重ね塗りすると中間色が重なる様がきれい!
- ● 陶板画…白磁の陶板に絵付けと焼き付けを積み重ねて作る。陶板のため、恒久的に色を残せる。
使う画材によっても呼び方が変わるなんて混乱しそうですが、読んでみるとどれも面白そうですね!
2.西洋画に使われるもの
次は西洋画に使われる画材や素材について見ていきましょう!
少しだけ詳しく解説しますね。
画材
西洋画のメイン画材は、水彩または油彩(油絵のこと)。
水彩は絵の具を水で溶かして描くのに対し、油彩は粉末の顔料を乾性油と呼ばれる【空気に触れるとゆっくり固まっていく油】で溶いて、のり状にしたところに、さらに揮発性の油や乾燥促進剤を混ぜて使います。
油が入る分、油彩は水彩に比べて乾くのが遅いのが特徴ですが、アクセントとして金箔を散りばめることもあり、ちょっと豪華な印象です。
この辺りはなんとなくイメージが浮かびますね♪
素材(土台となるもの)
西洋画の素材には「麻布」と「綿布」があります。
麻布はあまり伸びず油の酸化がしづらいという油絵に適した素材。下地塗料がしっかり定着して耐久性にも優れています!
その麻布も、織り目の粗さによって3つに分かれます。
【粗目】
豪快に描く大作に向いたキャンバス
(強み)
- 厚塗りの作品に活かしやすい
- 生地自体が丈夫
- 艶のない落ち着いた色合いが表現しやすい
(弱点)
絵の具を大量に塗り、下地をしっかりしてから画面を磨かないと、繊細なタッチが表現しづらい
【中目】
細かい描写も大胆な表現も、どちらも対応できる一般的なキャンバス
(強み)
- 初心者も使いやすい
- 布目への定着が良い
(弱点)
クセが無い反面、プロには物足りないことも
【細目】
織り目が細かいキャンバス
(強み)
- 細かい表現がしやすい
- 光沢感が出る
(弱点)
- 厚塗りで絵の具がはがれる恐れがあり、保管するときは細心の注意が必要!
- 粗目と比べると強度が劣る
【綿布】
綿で作られた、織り目が繊細でなめらかなキャンバス
(強み)
- 繊細な描写・表現がしやすい
- 麻よりお手頃価格!
(弱点)
- 油の酸化に弱く、厚塗りはおすすめできない
- 麻布よりもろく破れやすいため、膠(にかわ)で板に接着しなければならない
描く題材にやイメージに合わせて、こういった土台や画材を考えて描かれているのですね。
でも最初はこんなに種類がなかったでしょうから、とんでもない数の人の苦労と工夫が重なって、少しずつ改良されてきたんですよね。
自分には絵画は描けませんが、なんだか感慨深い気持ちになります!
3.西洋画のココがおもしろい!
ここで「西洋画のココがおもしろいなぁ」と感じたところをご紹介しますね!
豊富な技法
西洋画は「遠近法」や「陰影をつける」ことでリアリティを出すのが特徴。
例えば陽の光に透ける髪の一本一本や、顔のわずかな陰影まで繊細に表現した絵画があるとします。
その場合、単に色をパレット内で混ぜるのではなく、原色を点状に置いて遠くから見たときに色が混ざって見える粗いタッチの技法もあるのです。
出来上がった作品を離れた場所から見てはじめて完成する色彩。すごくユニークな発想ですよね!
また抽象画なら描く対象物を一度幾何学的に分解して、画家の感性やさまざまな視点から対象物を再構築して描きます。
一度画家の視点を通して対象物を分解しているので「これは…なんだ?」と一度見ただけでは分からない作品もありますが「この画家にはこう見えているんだな」「こういうフィルターを通してみると、こうなるのか!」など新しい視点を見付ける楽しさもあるんですよ(^^)
光の表現
西洋画は光の表現が秀逸。
「光の魔術師」と呼ばれる、世界的な有名画家ヨハネス・フェルメール(※)は影を表現するために 茶色で塗り、光の部分をキャンバス地の色を残し明暗を演出しました。
※(1632- 1675年) バロック期を代表するオランダの画家。まるで映像のような写実的な技法と「光の魔術師」と呼ばれる巧みな質感表現が特徴。
またフェルメールの作品【赤い帽子の女】(1665~1666)の白いスカーフは、ホワイトの下に暗い色をプラスして影をつけ【手紙を書く女】(1665頃)では、粒状の顔料で下塗りに質感をもたらし、光の描写をさらに際立たせています。
筆の跡をあえて残し黄色い上着を特徴的な丸で 描くことで、光の明暗を表現したのです。
光を表現するには下塗りが大事…ということでしょうか?
浮世絵の影響
西洋画の中には、日本の浮世絵の影響を受けた作品が多くあります。
例えば印象派を代表する画家の一人、クロード・モネが描いた【ヴァランジュヴィルの風景】(1882)は、葛飾北斎の【富嶽三十六景 東海道程ヶ谷】(1830~1832) の影響を受けたのではないかと言われています。
同じくモネの【睡蓮の池】(1899)には、日本風の太鼓橋が描かれており、浮世絵師歌川広重の【亀戸天神境内】(1856) に影響を受けたと考えられています。
日本の浮世絵が絵画のジャンルを超えて、西洋画家に大きな影響を与えているなんて、日本人として誇らしいですね!嬉しくなります(^^)
4.有名な西洋画家
有名な西洋画家はたくさんいますが、厳選して3名ご紹介しましょう。
レオナルド・ダ・ヴィンチ
まずは世界一有名な画家と言っても過言ではないレオナルド・ダ・ヴィンチ。
天才の名を欲しいままにしました。
ダ・ヴィンチは1503年頃から数年にわたる歳月をかけて代表作【モナ・リザ】(1503~1506)を完成させました。
フェイスラインを曖昧にして、色の判別がつかないように優しく描かれており、筆跡がわからない繊細な重ね塗りでどこか神々しさが醸し出された世紀の美人画です。 目のくぼみや口元をぼやけた黒い影で表現されています。
モナ・リザは今も定期的にTV番組で特集が組まれるほど謎めいています。500年以上経った今でも「隠された下絵や上部に向けられた指先などに深い意味があるのではないか?」と私たちを楽しませてくれているのです。
絵画を感覚や技法だけでなく科学的に捉えていたダ・ヴィンチ。
その凄まじい才能と影響力には、もはやひれ伏すしかありません!
ピカソ
2人目はピカソ。
代表作は1937年に描かれた【ゲルニカ】
スペイン市民戦争にナチスドイツやイタリアが介入し、スペインの都市ゲルニカが無差別爆撃された悲惨さをテーマにした作品です。
戦争そのものの恐ろしさと、戦争を起こし簡単に終わらせようとしない愚かな人間たちへの痛烈な批判が表現されたゲルニカは、壁画として描かれ見た人の心に深く強い衝撃を与えました。
見さかいのない暴力や混沌に巻き込まれて苦しむ女性や子ども、家畜を容赦なく呑み込もうとする炎などがモノクロで表現されています。
作品発表された当時は今ほど評価されていませんでしたが、第二次世界大戦後に見直されることとなりました。
絵画は感動や鑑賞する楽しさを与えてくれるものではありますが、時代背景を塗り込め、歴史を伝える役目も担っているのでしょう。
そこに表現された歴史的事実は色褪せることはありません。
ピカソの「忘れさせないぞ!」という強い思いと、ゲルニカの街を目の当たりにしたときの絶望、生涯癒えることがなかったであろう悲しみがひしひしと伝わってきます。
個人的な感想ですが、ゲルニカを写実的な具象画ではなく、人間を人形と思わせるような抽象的に描いたことにより、戦争の無情さがより際立っているように思うのです。
ゴッホ
3人目はゴッホ。
代表作は燃えるような筆遣いが印象的な【ひまわり】(1888)。
有名なのは1枚かもしれませんが、実は合計7枚もひまわりを題材にした絵画を残しています。
生涯で16都市を渡り歩き、26回も引っ越しを繰り返したというゴッホ!転居のたびに「心機一転、絵の制作に邁進しよう!」という想いを込めてひまわりを描いたのだとか。
フランスのアルルで同居する芸術家ゴーガン(※)と暮らす家に飾るインテリアとして描かれた4枚目の「ひまわり」が最も有名。7枚のひまわりの中で一番明るい色調といえます。
憧れのゴーガンとの同居だから色調も明るくなったのでしょうか?純粋な心の持ち主だったのですね!
※ポール・ゴーガン…(1848年6月7日 – 1903年5月8日)は、フランスのポスト印象派の画家。
ゴッホはゴーガンの技法を熱心に学ぼうとしますが、暮らしを共にする中でだんだんとゴーガンの絵に意見を言うように…
制作期間や絵画に対する根本的な信念が大きく異なる2人は、やがて衝突するようになり、わずか2ヶ月で共同生活にピリオドを打ちます。
写実を重視するゴッホと、想像やイマジネーションを通して描くことを良しとするゴーガンの、互いに曲げられない信念が仇となったのかもしれませんね。
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