2024.03.18
【骨董ジャンル紹介】書道具について
目次
硯で墨をすり、紙に筆をおろして文字を書く。美しい所作も含めて書道は人気がありますよね。
今回は古美術としての書道具とその歴史、さらに注目してほしいポイントをご紹介します(^^)
1.書道具の歴史
書道具の歴史が気になりませんか?
詳しく見ていきましょう。
墨の始まり
墨の起源は中国の殷とされていますが、どのようにして発明されたかは不明です。
日本には奈良時代に紙と一緒に輸入されたといわれていますが、古墳時代の壁画に墨があり さらに古い時期から存在していた説も。
書道具の歴史はとても古いのですね。
墨が伝わり、書道や掛け軸などの日本文化が発展してきました。
今残っている中で一番古い墨は、正倉院の朝鮮と中国の墨。
日本製の墨を和墨(わぼく)といい、江戸時代以前に作られたものを古墨(こぼく)としています。
また中国製の墨は唐墨(とうぼく)で、清時代までに作られたものを古墨(こぼく)としていました。
また下記のように分類することも。
- 10年以上前に作られた墨:古墨
- 作りたて:新墨
飛鳥時代~奈良時代:書道の広まり
弥生時代に中国から日本へ漢字が伝来し、5世紀頃に仏教とともに文字として使用され書道も広まりました。
また、飛鳥時代の聖徳太子や奈良時代の聖武天皇の影響で写経が広まりました。
今で言う「写経推し」だったのかもしれませんね。
文字の発展に伴い、書道も流行していったのですね。
平安時代:かな文字の発展
平安時代初期には三筆と呼ばれる、以下の書道の達人が誕生。
- 嵯峨天皇(さがてんのう)
- 空海(くうかい)
- 橘逸勢(たちばなのはやなり)
唐の真似事から脱却し、日本オリジナルの書風を作り上げようと尽力しました。
平安中期には唐の勢いが落ち遣唐使が来なくなったためさらに日本独自の文化が発展。
平和な世相も相まって、かな文字と漢字を融合した和様書道を確立しました。
世の中が安定している時代に、書道が発展していったのですね。
鎌倉~江戸時代:多くの人に書道が普及
鎌倉時代、書道は貴族以外の武士や僧侶にも好まれるようになります。
中国から禅僧が来日し、禅様(墨跡)の書風が嗜まれました。
室町~戦国時代は世が荒れ一時的に書道は衰退しましたが、茶の湯が広まり茶室を古筆(平安~鎌倉時代のかな文字の名筆)でおしゃれにする文化が流行。
江戸時代には中国式の書風「唐様」が入る一方で、鎖国により日本オリジナルの和様も発展しました。
一部の上流階級の人のみではなく、一般市民にも書道が普及した点が特徴。
各々の書風は、次のような人に好まれました。
- 儒教者や文人:唐様…明治時代には政府の文書が唐様で書かれるようになりました。これにより儒教者や文人の間では自然と唐様が使われるように。
- 貴族や武家、庶民:和様…寺子屋では御家流という和様の一種を教えていました。そうして子どもを含む貴族、武家、庶民には和様が親しまれたのです。
身分に関係なく、書道は人々に浸透していったのですね。
近代:書道が日本の芸術の代表格へ
唐・和の様式を問わない書道が確立。
大正〜昭和初期は、下記が盛んでした。
- 書道団体の結成
- 書道刊行物の発行
- 展覧会
戦後は書道が二科展に参加したり、※前衛書道のジャンルが出たりと国内問わず普及。
※前衛書道:漢字やかなにとらわれない新分野の書道
日本の芸術界でも、書道の存在感は大きくなりました。
2.古美術としての書道具
実は書道具の古美術としての価値が高いのは、ご存知でしょうか?
その中の一部をご紹介しましょう。
雄勝硯(おがつすずり)
- 主な生産地:宮城県(仙台市、石巻市)
- 生産開始時期:16世紀頃
伊達政宗がこよなく愛し、伊達藩のサポートを受け発展しました。
黒色硬質粘板岩できれいな艶と黒さ、頑丈さが強みです。
豊橋筆(とよはしふで)
- 主な生産地:愛知県(豊橋市、豊川市、蒲郡市、新城市、田原市)
- 生産開始時期:19世紀初頭
京都の職人を招き作った筆で、墨を良く吸いストレスのない書き心地がします。
滑らかになる秘密は、違う長さ・性質の毛を水とミックスした「練り混ぜ」の技法を使用するからです。
鈴鹿墨(すずかすみ)
- 主な生産地:三重県鈴鹿市
- 生産開始時期:9世紀頃
辺りの山で採れた松から作り始めた伝統工芸品で、高貴な色合いから書道のプロも御用達です。
奈良筆(ならふで)
- 主な生産地:奈良県(奈良市、大和郡山市)
- 生産開始時期:9世紀頃
狸やイタチ、馬、鹿、羊などの毛を使った練り混ぜ技法で作られた高価な筆。
空海から伝来したといわれています。
熊野筆(くまのふで)
- 主な生産地:広島県安芸郡熊野町
- 生産開始時期:江戸時代終盤
奈良へ筆の仕入れと同時にスキルを教わり、広島へ戻ってから製作を始めたとされています。
毛先をカットせず均一にする方法で、触り心地が抜群。
川尻筆(かわじりふで)
- 主な生産地:広島県呉市
- 生産開始時期:江戸時代終盤
上野八重吉という人が練り混ぜ技法を用いて作り始めた、プロにも人気な伝統工芸品です。
毛先が柔らかく細かいディテールも表現しやすいので、繊細な作業が必要な文章や絵に向いています。
赤間硯(あかますずり)
- 主な生産地:山口県(下関市、宇部市)
- 生産開始時期:12世紀頃
赤間石が原料で、頑丈できれいな深みのある色合いが特徴です。
奈良墨(ならすみ)
- 奈良県奈良市
- 生産開始時期:806年頃
遣唐使だった空海が墨を作るスキルを習得し 作り始めたとされており、全国シェア約90%を誇ります。
平成30年11月に国指定の伝統的な工芸品にも なりました。
3.ココに注目!
さまざまな書道具を紹介してきましたが、高額買取のポイントはどこにあるのでしょうか?
次はさらに注目してほしい点をお伝えします。
古来より存在する墨は高い
歴史の古い墨は、骨董品としても値打ちがあり 高額買取が期待できます。
唐墨は特に要注目。
中でも100年以上前の墨は、最も高額な可能性が高いでしょう。
しかし20〜30年以上前のものでも、高価買取 が期待できます。
日本製の墨も墨匠やメーカー次第で価値が高まる
通常和墨より、唐墨のほうが価値が高いとされます。
しかし製造からあまり日数が経過していなくても、港竹山のような名高い墨匠や墨運堂や古梅園などの有名なメーカーの墨は高額買取が可能な場合もあるでしょう。
付属品が揃っていると価値がアップ
高級な墨は、保存袋や桐箱、木箱などに入れてしまいます。
付属品も一緒にあれば、さらに納得の買取価格が期待できるでしょう。
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