2022.05.31

【鉄瓶買取】高く売る秘密&鉄瓶の歴史・産地を知ろう

あなたのおうち、倉庫などに眠ってませんか?

鉄瓶とは、日本の伝統的な工芸品で、直接火にかけてお湯を沸かす鋳鉄製の器具です。

茶道で使われていた茶釜から発展したもので、持ちやすくするために注口(つぎくち)と弦(つる)がついています。

鉄瓶で沸かしたお湯は鉄分が豊富で、アルミやステンレスと比べて約1519倍にもなると言われています。鉄分が補給できて貧血防止や代謝を上げるのに役立つと同時に、まろやかな味になります。

鉄瓶というと岩手県の「南部鉄器」が有名ですが、鉄瓶は岩手県以外でも関西、山形県、栃木県、富山県、三重県、東京都など、日本各地で生産されていて、産地それぞれの特徴や歴史があります。

今回は、現在でも愛好家が多い鉄瓶について、歴史や種類をご紹介します。

鉄瓶の歴史

鉄瓶の誕生

鉄瓶の原型は、1415世紀ころ、約600年前に誕生しました。

茶の湯釜の一種で「手取釜(てどりがま)」と呼ばれており、三本足の釜に注口を設け、肩の常張鐶付(じようばりかんつき)につるをつけたものを薬用に使っていました。

室町時代の絵巻物「掃墨物語絵巻」(徳川美術館所蔵)に、すでに手取釜が描かれています。

手取釜という名称は室町時代末以降の茶会記に多数登場し、この時期には天命(現在の栃木県佐野市)で盛んに鋳造されていました。

南部鉄器

現在も伝統工芸品として受け継がれている南部鉄器の発祥は、大名の間で茶道が流行していた江戸時代にさかのぼります。

1659年(万治2年)、茶道に精通していた南部藩(現在の岩手県中部)の第28代藩主である重直が、藩内に良質な鉄資源があることを発見しました。その鉄を使って、初代小泉仁左衛門という京都の釜師に茶釜を造らせたのが南部鉄器の起源といわれています。

その当時の南部藩は産業や文化に力を入れており、全国から鋳物師や茶釜職人を招いて手厚く保護しました。また、領内で鉄や粘土・漆など良質な原材料が豊富にとれたため、南部鉄器は発展していきます。

南部鉄器の代表作「南部鉄瓶」

南部鉄器の中で最も有名な製品「南部鉄瓶」が誕生したのは、江戸時代中期の1750年ごろ。

南部藩に仕えていた3代目御釜師・小泉仁右衛門清尊(こいずみにんざえもんきよたか)が考案しました。

片手でもお湯を注げるようにするため、茶道で使われていた茶釜のサイズを小さくし、注ぎ口とつる(取っ手)をつけたのが始まりです。その後、南部鉄瓶は茶釜に代わって大量に造られるようになります。

「鉄瓶」という呼び方が広く使われるようになったのは、江戸時代後期のことです。そのころから、茶道や人々の日常へ根付いていきました。

鉄瓶の全盛期

1908年(明治41年)、当時の皇太子(後の大正天皇)が盛岡を訪問した時に、8代目小泉仁左衛門の南部鉄器製作を見学し、その品質を称賛したことが報道されました。

また、殖産産業の推進を目的とした「第一回 内国勧業博覧会」で南部鉄瓶が高く評価され、花紋賞牌を受賞しました。

こうして南部鉄瓶は全国的に広く知られるようになりました。

戦争から衰退へ

第二次世界大戦が始まると、職人が徴兵され、鉄は武器として使われたために、南部鉄器の生産は制限されてしまいます。

さらに、大戦後は人々の生活様式が様変わりし、アルミニウム製の鍋ややかんが製造されるようになりました。南部鉄器は生活必需品ではなくなっていき、徐々に衰退していきました。

鉄瓶の種類と特徴

鉄瓶は日本各地で生産されており、それぞれに特徴があります。

日本の代表的な鉄瓶をご紹介します。

南部鉄瓶

岩手県盛岡市や奥州市で製造されている鉄瓶です。

さびにくく熱が均一に伝わり、保温性にも優れていることから、実用的な製品として生産されることが多いです。

鉄独特のざらざらとした風合いと、飾り気のないデザインが特徴です。

南部鉄瓶において伝統的な紋様に、「あられ」があります。表面に丸い突起を施し、球状の鉄瓶に紋様が美しく並ぶように計算され、上の方は突起が小さくなるよう打たれます。あられの形や深さ、間隔などは職人によってそれぞれ違います。

山型鋳物

山形県山形市周辺で作られ、1974年(昭和49年)に全国で最初に伝統工芸品に指定されました。

山形鋳物の特徴は、鉄器独特の重厚な存在感がありながら、薄くきめ細かな肌感を持ち、シンプルなデザインのものが多いことです。

現在では、茶道で使用される茶の湯釜のほとんどが山形産と言われており、デザイン面でも技術面でも高く評価されています。

天明(てんみょう)鋳物

栃木県の南西部にある佐野市で生産される鋳物です。

簡素で力強い造形ながら独特の肌ざわりやぬくもりがあり、落ち着いた深みのある色合いが特徴です。注ぎ口は、鉄砲口と呼ばれる独特の形をしています。

高岡鉄瓶

現在の富山県高岡市金屋町が発祥の高岡銅器。

高岡で生産される鉄瓶は、蝋型鋳造製法という複雑で精密な鋳造が特徴で、美しい地紋を持つことから美術品として高い評価を受けています。

江戸鉄瓶

400年ほど前から続く伝統工芸の技法(惣型法、焼型法)で作られています。同じ技法で作られる鉄瓶は多数ありますが、江戸鉄瓶のこだわりは、1つの鋳型から1個だけしか作り出さない製法を採用していることです。

このことにより、薄くて軽いのに繊細な紋様が力強くあらわれ、わびさびのある柔らかなフォルムを生み出しています。

桑名鉄瓶

三重県桑名市で生産されている鋳物で、灯ろうや梵鐘(ぼんしょう)、農具、鍋などが作られました。

桑名鉄瓶は、実用的でシンプルな飽きのこないデザインが特徴です。

京鉄瓶(関西鉄瓶)

京都を中心として、大阪や滋賀など関西地方で生産されています。

繊細な造りで、弦や蓋が銅製のものが多いことが特徴です。また、梅の花の形をしたつまみや釜底に鳴り金と呼ばれる鉄片が付くなど、装飾が施されています。

京鉄瓶には各地に工房があり、有名なものとしては「龍文堂」「亀文堂」「金寿堂」「金龍堂」などが挙げられます。

日本の伝統工芸品、鉄瓶についてご紹介しました。

実用性と装飾性を合わせ持つ鉄瓶は、茶道家や骨董品コレクターをはじめ、海外でも人気があります。

 

骨董買取ラボでは、もちろん鉄瓶も高価買取しております。

美術品として売却できるかの評価は、「銘」と「装飾性」がポイントとなります。

 

銘とは制作者のサインのようなもので、個人作家の場合もあれば工房の場合もあります。

鉄瓶を制作する作家で有名なのは、「秦蔵六(はた ぞうろく)」、「角谷一圭(かくたに いっけい)」、「畠春斎(はた しゅんさい)」、「角谷興兵衛(かくたに よへい)」などが挙げられます。

工房だと「龍文堂」、「金寿堂」、「金龍堂」、「祥雲堂」、「尚美堂」などがあります。

装飾性では、「草花がデザインされている」「象嵌を使用し華やな雰囲気を持っている」

「つまみに純銀を使用している」といった特徴があるものは、高価買取の可能性があります。

 

骨董買取ラボなら、しっかりとした鑑定士が多数在籍しており、最短即日訪問が可能です。買取方法は、作業後に基本即日現金買取をしているので安心です。

なお、インターネットでの販売・コレクター様へのご紹介・全国の美術品交換会・催事の出店・海外バイヤーとの繋がりなど幅広い販売ルートを持っています。

さらに自社オークション運営も行っているため、他社より高く買取することが可能です。

ご自宅で眠っている鉄瓶がありましたら、お気軽にご相談ください。