2022.06.10

【蒔絵・漆器買取】蒔絵とは?高く売るコツ&買取業者の選び方

「知人、友人から譲り受けた蒔絵・漆工芸」

「遺品整理や、生前整理で出てきた蒔絵・漆工芸」

「故人のコレクションだった蒔絵・漆工芸」

 

このようなきっかけで手にした蒔絵・漆工芸は、取り扱いに困ってしまうこともありますよね。

そんな時に考えるのが「売却」ですが、買取業者の選定や査定ポイントを把握しておかなければ損をしてしまいます。

 

そこで、当記事では「蒔絵・漆工芸」を売却する際のポイントを詳しく解説しました。

優良な買取業者を見つけて査定ポイントを把握することで、売却するときの価格を大幅にアップすることもできますよ。

 

記事内ではスムーズに売却をするコツもご紹介していますので、ぜひこの記事を参考にしてくださいね。

蒔絵とは

蒔絵とは日本の漆工芸の代表的な加飾技法の一つです。漆で絵や文様を描き、漆が乾かないうちに金粉や銀粉等を蒔き付けて、絵や文様に装飾を行う技法です。

 

「蒔絵の源流」と言われ国内最古に位置づけられているのは、奈良時代に制作された正倉院宝物のひとつ「金銀鈿荘唐大刀」の鞘に装飾された「末金縷」とされています。

「末金縷」は、現代に伝わっている「研出蒔絵」とほぼ同じ技法でつくられています。

 

その後、平安時代には様々な蒔絵の技法が誕生し、平等院鳳凰堂や中尊寺金色堂などの建物にも蒔絵が施されました。

 

鎌倉時代になると、蒔絵の技術がさらに進化し、現代に伝わる平蒔絵・高蒔絵・研出蒔絵などの技法が確立します。

 

蒔絵は武士を中心に人気が広まり、鎧・兜なども漆塗り・蒔絵が施されるようになります。国宝である鶴岡八幡宮の籬菊螺鈿蒔絵硯箱(まがききくらでんまきえすずりばこ)もこの時代の名品です。

 

室町時代には高蒔絵・研出蒔絵の技術を組み合わせた肉合蒔絵が完成します。格調高い蒔絵作品が続々と誕生し、腕の良い蒔絵師は足利将軍の庇護を受けるようになります。

 

安土桃山時代の「高台寺蒔絵」は、京都「高台寺」にある秀吉の霊を祀るためにつくった蒔絵として有名です。また、秀吉夫妻が使用したとされる茶道具や箪笥などの調度品に施された蒔絵は、この時代の最高峰といわれています。

 

江戸時代には裕福な町人・商人たちが蒔絵を施したアクセサリーなどを生活に取り入れたり、印籠などを通じて一般庶民にも普及しました。

 

明治時代にはヨーロッパなどの海外にも輸出されるようになります。

ヨーロッパの人々には人気を集め、日本では西洋美術の影響を織り交ぜながら美術工芸品としての漆器も作られるようになりました。

 

時代とともに進化を続けてきた蒔絵は、今でも日本のみならず海外でも人気を集めています。

蒔絵の技法

蒔絵の基本的な技法は大きく分けて「平蒔絵」「研出蒔絵」「高蒔絵」の3種類です。これに研出蒔絵と高蒔絵を組み合わせた「肉合蒔絵」を含めた4つの技法が代表的な蒔絵の技法となります。

技法の種類

【平蒔絵】平安時代の後期から登場し、簡便で桃山時代に最も流行しました。背景は高くならず、絵や文様だけが少し盛り上がります。

 

【研出蒔絵】文様と背景(器の表面)は平滑で平蒔絵より金粉が脱落しづらいです。

 

【高蒔絵】蒔絵を施す部分の漆を周りより高く盛り上げ、立体感をもたらした技法です。

 

【肉合蒔絵】高蒔絵に研出蒔絵を組み合わせた、蒔絵の中で最も複雑な技法です。

 

金属粉の大きさによる分類は、

金属粉の小さい順から【消粉蒔絵】【平極蒔絵】【丸蒔絵】と、3つの種類に大別されます。

 

蒔絵は漆器の表面に描かれるため、基本的には平滑な表面になります。しかし、高蒔絵の技法によって文様を立体的に表現できるようになりました。また、金属粉の大きさや、グラデーションを作ることでも平面的な文様に遠近感を生み出します。

 

様々な技法を駆使して、立体感があり、かつ繊細な表現が蒔絵作品の魅力なのでしょう。

蒔絵・漆芸の人気作家

赤地友哉 赤塚自得 池田 泰真 一后一兆 植松抱民
植松包美 太田 喜久太郎 小川松民 小川破笠 音丸耕堂
梶山明細 川之邊一朝 川端近左 清瀬一光 黒田辰秋
古満 寛哉 古満休伯 古満 巨柳 佐治 賢使 篠原如雪
篠原傑 柴田是真 白井 可交斎 白山松哉 竹園 自耕
堆朱陽成 寺井直次 豊平翠香 中村省三 中村宗哲
原羊遊斎 飛来一閑 氷見晃堂 藤林 昌吉 逸見東洋
三田村自芳 村瀬治兵衛 室瀬和美 吉田華正 渡辺 桃船

 

 こちらの作家以外の作品や作家不明の作品などでも、処分する前には一度査定に出してみてください。

蒔絵の人間国宝

  • 高野松山 1955年
  • 松田権六 1955年
  • 大場松魚 1982年
  • 寺井直次 1985年
  • 田口善国 1989年
  • 室瀬和美 2008年
  • 中野孝一 2010年

蒔絵・漆器の買取査定ポイント

査定ポイントをおさえて買取の参考にしてください。

作家

骨董品全般に言えることですが、買取の際には「誰の作品か」がとても重要なポイントです。有名作家の作品は高価買取が期待できます。

 

また、無名の作家であっても時代の古い作品に関しては高い評価となる場合があります.。

明治時代の漆工芸は、輸出品として「最高の作品を世界に送り出すため」職人たちの高度な技術によって作られていました。そのため、江戸時代や明治時代の作品は無名であっても高く取引されています。

作品の装飾

蒔絵作品は、基本的に豪華で装飾技術の凝った作品が高評価に繋がります。

 

しかし、蒔絵には「梨地」という技法があり、棗や文箱等の内側に「梨地」の技法が使われている場合には高い査定評価となります。

 

作品の外観の目につきやすいところ以外でも、作品自体の装飾の出来映えによっては大きく査定評価が変わることもあります。

状態

作品の状態も査定時の重要ポイントとなります。

蒔絵の剥落・汚れ・ホコリ・欠け・割れなどがあれば、査定ポイントは下がってしまいます。日頃の保管方法には気をつけておいてください。

 

しかし、もし剥落・汚れ・ホコリ・欠け・割れなどがあったとしても、そのままにしておいてください。自分で汚れを落としたり修理をしようとすると、かえって価値が下がってしまいます。

そのままの状態で、査定に出してください。

保管方法

蒔絵をはじめとした漆工芸全般の作品は保管方法に気をつけましょう。漆器は湿度や乾燥によって表面や下地が劣化し、蒔絵の剥落にもつながります。また、直射日光による紫外線も表面を劣化させる原因となります。

 

蒔絵の剥落などの劣化は査定時のマイナス要因になってしまいます。出来るだけ長く良い状態を保つためにも、保管方法には気をつけてください。

付属品

「付属品」の有無によって査定額に大きく差が出ます。

作品によっては、「付属品」がないことによって買取金額が半減してしまう可能性もあります。

 

箱や説明文などの付属品の他、印籠のように「根付や緒締の装飾」は作品全体を取り囲む重要な査定ポイントになります。付属品は大切に保管し、一緒に査定に出しましょう。

買取査定の前に確認しておくこと

蒔絵が施された作品には茶道具・硯箱・文箱 ・印籠など、様々な種類があります。

 

また、漆器の歴史は古く東北から沖縄まで、産地によって様々な特色の漆器が伝えられており、輪島塗りや飛騨春慶塗りなど有名産地の漆器で、豪華な蒔絵はとても人気が高く高値で取引されています。

作品の年代と来歴

作品が制作された年代や来歴は、査定時の重要な情報になります。

・購入された時期や金額

・いつ頃から家にあるのか

・どこで手に入れたものか

・どこの地域で購入されたか

・誰から購入したのか

 

また、その作品が

・著名なオークション出品した

・著名人の所蔵品だった

・図録掲載品

など重要な来歴がある場合には、作品だけでなくその情報も加味した評価となります。

 

作品の情報は、できる限り伝えると査定に大きく影響します。

買取業者の選び方

蒔絵・漆器の作品は歴史が古く、種類も豊富なため蒔絵・漆器の知識がないとその価値を見極めるのは困難です。

 

ネットオークションや、フリマアプリなどご自分で売る方法もありますが、個人取引のためにトラブルになるケースが少なくありません。

 

そこで、ここからは買取業者に依頼するときの選び方をご紹介します。

骨董品専門の業者に依頼する

近頃、総合リサイクルショップが数多くあり、遺品整理や生前整理、引越しなどで一括整理をしたい場合には便利なお店です。しかし、このような店舗のスタッフでは、蒔絵・漆器の価値を判断するのは困難です。

 

買取業者には、骨董品専門の業者に依頼することをおすすめします。蒔絵・漆器の知識を持った鑑定士に査定をしてもらいましょう。

 

骨董品専門の業者を選ぶ際には次の事に気をつけてください。

出張買取をしてくれる買取業者

蒔絵・漆器の作品は繊細な品物です。持ち込みや宅配の買取方法もありますが、梱包・配送の途中で蒔絵の剥落や漆器の破損の可能性があります。査定前に破損をしてしまっては買取金額が下がってしまいます。

 

出張査定であれば、自宅で査定・買取をしてもらえるので安心です。

高価買取が可能な買取業者

品物をしっかりと査定してくれるのはもちろんですが、業者によって買取金額は大きく異なります。販売ルートを多く持っている買取業者は高価買取をしてもらえる可能性が高くなります。

 

骨董買取ラボなら、しっかりとした鑑定士が多数在籍しており、最短即日訪問が可能です。買取方法は、作業後に基本即日現金買取をしているので安心です。

 

なお、インターネットでの販売・コレクター様へのご紹介・全国の美術品交換会・催事の出店・海外バイヤーとのつながりなど幅広い販売ルートを持っています。

さらに自社オークション運営も行っているため、他社より高く買取することが可能です。

まとめ

日本を代表する伝統工芸品「漆器」。

そしてまた、「蒔絵」も日本固有の伝統技術であり、蒔絵の施された作品は美術品としての価値が高く、高価買取が期待できる品物です。

 

蒔絵・漆器の作品をお持ちで売却をお考えの方は、「買取査定ポイント」や「買取業者の選び方」を参考にしていただき、査定をしてみてはいかがでしょうか?